新宿ファッションフィールド2014 開催レポート


いつか見た蚤の市。忘れられないあの服。

新宿ファッションフィールド2014開催風景01
新宿ファッションフィールド2014開催風景02
新宿ファッションフィールド2014開催風景03
新宿ファッションフィールド2014開催風景04

第6回目となる新宿ファッションフィールド2014は、より多くの皆様に楽しんでいただけるよう会場を四谷区民センターに移し、また、新たに「トークセッション」や「蚤の市」といったプログラムを加えた複合的なファッションイベントとして開催しました。

グランプリを受賞したのは、柏木結さんの「Venusの夢」。ヴィーナス像をモチーフにした大胆なデザインと緻密な制作手法が、観客にも審査員にも強い印象を与えました。また、準グランプリを獲得した氏家優基さんの「Antique Cloths」は、古着のユーズド感や懐かしさを生かしつつボーダーレスな同時代性を表現したハイブリッドな作品として高評価を得ました。

このほかの入選作品も、テーマに基づいた独創的な作品であることはもちろん、リアルクローズ(既製服)とは異なる遊びや実験的なチャレンジがある、素材のもつ特質を理解し工夫している、パターンや縫製など基本的な技術レベルが高い、といった観点から各賞が決定しました。

新企画の「トークセッション」では、7人のアパレル審査員の皆さんに、仕事への愛着やプロとしての意識、ファッションに関心のある人たちへのメッセージなどを気さくに語っていただき、短いけれど濃密な時間となりました。また「蚤の市」には12のショップが出店し、アクセサリーや布小物、絵画やおみくじ(!?)など多種多様な手作り雑貨の前に人の輪ができていました。

ご来場いただいた皆さまやご応募いただいた皆さま、ご支援くださった皆さまには、心よりお礼を申し上げます。これからの新宿ファッションフィールドは、単なるファッションショーの枠を超え、交流や学びのある刺激的なイベントを目指してまいります。次回もご期待ください。


審査結果

作品制作部門

グランプリ
Venusの夢
柏木結 Kashiwagi Yui
織田ファッション専門学校
いつか目にした骨董品を思い浮かべる。下を見つめる関心なき視線…。その日から彼女は夢を支配していく。彼女はうつむいているのか? 微笑んでいるのか? 特殊なパターンとドレープで重力のない夢の中を表現しました。
〔メイク:丹波希優子/モデル:澤田あずさ〕
  • 観客賞(作品部門)
  • 観客賞(モデル部門)
『Venusの夢』 柏木結/織田ファッション専門学校 『Venusの夢』 柏木結/織田ファッション専門学校
準グランプリ
Antique Cloths
氏家優基 Ujiie Yuki
国際ビューティ・ファッション専門学校
蚤の市で連想したワードは、古着。古着にはそれぞれの記憶や時間が刻まれている。懐かしさの中に今の風を吹き込んだような雰囲気があり、人種や性別の差がないボーダレスな服の提案です。
〔メイク:角口由花/モデル:岸本凜〕
『Antique Cloths』 氏家優基/国際ビューティ・ファッション専門学校 『Antique Cloths』 氏家優基/国際ビューティ・ファッション専門学校
新宿区長賞
強欲
一色彩音 Isshiki Ayane
名古屋学芸大学
人が持つ欲望という感情は醜く戒めるべき感情とされている傾向がある。その“強欲”をファッションで体現してみたいという思いから、人の様々な欲が溢れるイメージで、見た人の記憶に残る作品に仕上げた。
〔メイク:易晶晶/モデル:内田瑞樹〕
  • ジュングループ賞
『強欲』 一色彩音/名古屋学芸大学 『強欲』 一色彩音/名古屋学芸大学
伊勢丹
新宿本店賞
折る
野口莉瑳 Noguchi Risa
織田ファッション専門学校
様子供の頃、誰もが遊んだことのある“折り紙”。子供だった私は平面の紙を“折る”ことで立体的で様々な形になることにとても感動しました。そんな子供の頃の“忘れられない”思いを幻の服として表現します。
〔メイク:李敏/モデル:志藤麻衣子〕
  • トリニティアーツ賞
『折る』 野口莉瑳/織田ファッション専門学校 https://www.regasu-shinjuku.or.jp/regasu/wp-content/uploads/2014/12/sff2014_14.jpg
オカダヤ
新宿本店賞
Psychedelic Flower
大樋幸奈 Ohi Yukina
文化服装学院
都会の片隅で見た花。まるで幻覚を見ているような綺麗な花。鼠色の町に咲く大輪をイメージしてデザインしました。土台の布に小さく切った布を上からたたき、花びらのゆれるさまとサイケな色づかいを表現しました。
〔メイク:新藤晴海/モデル:岩崎真澄〕
『Psychedelic Flower』 大樋幸奈/文化服装学院 『Psychedelic Flower』 大樋幸奈/文化服装学院
審査員特別賞
転生
小西翔 Konishi Sho
東京モード学園
転生をテーマに、別の存在として生まれ変わった命を表現。蚤の市で見た骨董品、アクセサリーやインテリア。アンティーク調のオブジェのような服。現世への強いオモイにより再会する唯一無二の忘れられない服。
〔メイク:福山麻姫/モデル:コレディナ ターニャ〕
  • 観客賞(メイク部門)
『転生』 小西翔/東京モード学園 『転生』 小西翔/東京モード学園
奨励賞
sanctuary
佐藤百合菜 Sato Yurina
国際トータルファッション専門学校
テーマはサンクチュアリ。実在はしないけどたしかにそこにある神聖な何かを“いつか見た蚤の市。忘れられないあの服。”からイメージし、その何かをレースで羽状に加工することによって、美しさや儚さ、神聖さを表現しました。
〔メイク:Livia/モデル:松浦京佳〕
  • アバハウスインターナショナル賞
『sanctuary』 佐藤百合菜/国際トータルファッション専門学校 『sanctuary』 佐藤百合菜/国際トータルファッション専門学校
入選
平和の鎧
市川マーカス知利 Ichikawa Marcus Kazutoshi
織田ファッション専門学校
蚤の市には、様々な物が集まります。中世ヨーロッパで使われていた鎧。今の時代には不必要な鎧も、特殊な技法、切り替えを使い、光の3原色が配色のステンドグラスを加えることで、平和の鎧へと変化します。
〔メイク:池ヶ谷南光/モデル:小松瑞希〕
『平和の鎧』 市川マーカス知利/織田ファッション専門学校 『平和の鎧』 市川マーカス知利/織田ファッション専門学校
吸い込まれる
大久保果歩 Okubo Kaho
名古屋学芸大学
多くのものがひしめく蚤の市で見たあの服は、見た人がその服の魅力に吸い込まれる、そんな服だと考え、デザインしました。人の目線を引き付けることができるような柄をイメージし、線で表現しました。
〔メイク:櫻井宥歩/モデル:黒田悠衣〕
『吸い込まれる』 大久保果歩/名古屋学芸大学 『吸い込まれる』 大久保果歩/名古屋学芸大学
超進化論
織田淳利 Oda Atsutoshi
東京モード学園
自分が想像する人間の進化をレディースウェアとして表現した。発達した骨や筋肉をレザーを用いたタックテクニックやスタッズなどの付属で表現する。ハードかつスポーティな新時代を生き抜くスタイルを提案する。
〔メイク:田草川千秋/モデル:石美玲〕
『超進化論』 織田淳利/東京モード学園 『超進化論』 織田淳利/東京モード学園
蜃気楼
神谷侑希 Kamiya Yuki
名古屋学芸大学
幻。在る様で無く。無い様で実在する。消えてはなくなりまた現れる。まるで蜃気楼の様にゆらゆらと記憶のなかをさまよい続けて。時にはそこに何が在るのかも特定出来ず。ただ、さまよい続ける。いつまでも、どこまでも。
〔メイク:羽田那津美/モデル:曽根春奈〕
『蜃気楼』 神谷侑希/名古屋学芸大学 『蜃気楼』 神谷侑希/名古屋学芸大学
百合
齊藤ジェシカ Saito Jessica
青山ファッションカレッジ
夢の中のようにぼやけたかすかな記憶、変わりゆく時代の中で築かれた風格と、百合のように美しく上品なオーラに受けた衝撃が蘇るイメージをデザインしました。マントのプリーツは折り重なる記憶を表現しています。
〔メイク:安田未路/モデル:細野あすか〕
  • シップス賞
『百合』 齋藤ジェシカ/青山ファッションカレッジ 『百合』 齊藤ジェシカ/青山ファッションカレッジ
アンティークドレス
瀬口由実子 Seguchi Yumiko
フリー
Tシャツリメイクの手法によって布を編み複雑なテクスチャを施したワンピース。たくさん積まれた洋服の中で一際目を引くオートクチュールドレスを私らしいリアルクローズなワンピースにしました。
〔メイク:山口奈津弥/モデル:藤村紗恵〕
  • アーバンリサーチ賞
  • アッシュ・ペー・フランス賞
『アンティークドレス』 瀬口由実子/フリー 『アンティークドレス』 瀬口由実子/フリー
残像
中村里奈 Nakamura Rina
倉敷ファッションカレッジ
過去の記憶は、儚く消えていく。あの時、私が見たものは何だったの? 子供の頃のキラキラした思い出。感動、衝撃…。もう一度あの光輝く宝石に出会いたい。
〔メイク:劉文静/モデル:本橋こころ〕
『残像』 中村里奈/倉敷ファッションカレッジ 『残像』 中村里奈/倉敷ファッションカレッジ
瞬間が永遠に
橋本万依 Hashimoto Mai
足利デザイン×ビューティ専門学校
蚤の市。不意に目に止まったあの服。写真に収めようとカメラを向けた。現像するとブレていた。きっとあの人混みのせいだ。しかし映し出された服はCMYKカラーの残像で、より幻想的なものへと変わっていた。
〔メイク:林芝誼/モデル:山田玲菜〕
『瞬間が永遠に』 橋本万依/足利デザイン×ビューティ専門学校 『瞬間が永遠に』 橋本万依/足利デザイン×ビューティ専門学校
各賞には商品券と表彰状を授与 グランプリ(30万円)│ 準グランプリ(10万円)│ 新宿区長賞(5万円)│ 伊勢丹新宿本店賞(3万円)│ オカダヤ新宿本店賞(3万円)│ 審査員特別賞(5万円)│ 奨励賞(2万円)│ 観客賞〔作品/モデル/メイク〕(各1万円)│ 入選(賞状のみ)

高校生デザイン画部門

金賞
混沌と飽和
加藤乃梨佳 Kato Norika
女子美術大学付属中学高等学校
蚤の市から新宿の空気感を想像しました。私が新宿から感じるのは「混沌と飽和」です。混沌を布のカーブで、人の想いやざわめきが混ざって溢れる感じをふくらんだ襟からこぼれる球体によって表現しました。
『混沌と飽和』 加藤乃梨佳/女子美術大学付属中学高等学校
銀賞
思い出の万華鏡
浅野遥 Asano Haruka
岐阜県立大垣桜高等学校
今回のテーマをみた時、自分の幼い頃の記憶が出てきました。その中で誰もが手にとった事があり、私が一番好きだった万華鏡をコンセプトにしました。動かす度、中の模様が変化する、万華鏡の魅力的な所をデザインしました。
『思い出の万華鏡』 浅野遥/岐阜県立大垣桜高等学校
銅賞
ミラージュ
川越美沙 Kawagoe Misa
学芸館高等学校
眠らない街新宿。ネオンの海をかき分けやっとたどり着いた蚤の市。いつか故郷で見た懐かしい光景がネオン街に泳ぐ。服の曲線は波。繊維の斜線は都会での人間交差の複雑さ。ネオン媒体をイメージした色彩に特にこだわりました。
『ミラージュ』 川越美沙/学芸館高等学校
西洋ヴィンテージ
渡辺あいか Watanabe Aika
啓新高等学校
旅行先の商店街にあった、私が一目ぼれしたワンピースドレスを思い出して描きました。ひまわりの花がすてきで、洋風な落ち着いた佇まいの図書館で着てみたい、上品さがあるワンピースドレスにしました。
『西洋ヴィンテージ』 渡辺あいか/啓新高等学校
各賞には商品券および表彰状を授与 金賞(2万円)│ 銀賞(1万円)│ 銅賞(各5千円)

審査員(敬称略)

  • 畠山 巧(ファッションデザイナー)審査員長
  • 聖生清重(元 日本繊維新聞社 編集主幹、現 富弘美術館長)
  • 中原篤徳(彫刻家)
  • 蛭川勝五(株式会社オカダヤ 代表取締役社長)
  • 鷹野正明(伊勢丹 新宿本店長)
  • 福島令子(三越伊勢丹研究所 婦人担当コーディネーター)本審査
  • 戸口順子(三越伊勢丹研究所 婦人担当コーディネーター)一次審査
  • 村重達也(繊研新聞社 アッシュ編集長)
  • 久保雅裕(アナログフィルター『Journal Cubocci』編集長)
  • 中山弘子(新宿区長)

新宿ファッションフィールド2014開催風景~トークセッション01
新宿ファッションフィールド2014開催風景~トークセッション02


アパレル企業賞

  • アーバンリサーチ賞(岩田真理子/アーバンリサーチ バイヤー)
  • アッシュ・ペー・フランス賞(久保田朋和/PR01. ディレクター)
  • アバハウスインターナショナル賞(齋藤玲緒奈/マーケティング部 部長)
  • シップス賞(松葉千紘/バイヤー)
  • ジュングループ賞 (津川愛子/ロぺ チーフデザイナー)
  • トリニティアーツ賞(川合史夏/Andemiu(アンデミュウ)プレス)
  • ビームス賞(犬塚朋子/フェルメリスト ビームス ディレクター)
各賞には商品券(2万円)および表彰状を授与  50音順/カッコ内は審査員(敬称略)

開催概要


日時:
2014年11月23日(日・祝)14:00開演
会場:
四谷区民ホール
テーマ:
いつか見た蚤の市。忘れられないあの服。
応募数:
1,584点(総数)
1,537点(作品制作部門)、47点(高校生デザイン画部門)
主催:
公益財団法人新宿未来創造財団
共催:
新宿区
協賛:
アーバンリサーチ アッシュ・ペー・フランス
アバハウスインターナショナル 伊勢丹新宿本店 オカダヤ新宿本店
シップス ジュングループ トリニティアーツ ビームス
後援:
繊研新聞社 新宿観光振興協会
協力:
東京都服飾学校協会 青山ファッションカレッジ 東京モード学園
文化服装学院 目白大学
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撮影:staff TES